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2004.10.17

神戸物語(2)

  そもそも、どうしてステーキ屋で「カトリック神戸中央教会」を教えられたのかは、車に乗せて下さった方に話を聞いてわかったのだが、同じような経緯と時期に再建され、中央教会のほうも完成し、再開の準備中だということだった。私が、「やっと再建された教会」という聞き方をしたために、店に近かったこちらがそうだと思ったらしい。

  栄光教会からようやくたどりついた聖ミカエル教会(日本聖公会)は、ちょうど「神戸フィルハーモニック・サロンコンサート」がはじまるところだった。私はそのとき、教会でよくある軽い音楽会だと思い、教会内にも入れればラッキーだな、と階段下でやさしく観客を迎える司祭に、ずうずうしく声をかけさせていただいた。

  「東京の練馬の聖公会から来たのですが、聴かせていただけますか」

  その方は上原信幸司祭で、最初は教会内の見学だけだと思われたらしく、私が聴きたいと言うと、意外だったようだ。司祭は快く受付に案内し、割引料金になるように紹介して下さった。

 教会に入ると、そこは歴史の重みを感じさせる聖堂だった。既に大勢の老若男女が座っていたが、私はずかずかと前から五番目くらいまで進み、座った。弦の擦れる音を久しぶりに身近に聴きたいと思ったからである。いただいたハガキ大の参加券を読むと、それは教会の催し物ではなく、神戸フィルとその後援会主催の、れっきとしたコンサートだということがわかった。

  そして開演時間になり登場した指揮者は、朝比奈千足(ちたる)氏ではないか! 言わずと知れた、故・朝比奈隆氏(大阪フィルの創始者)と瓜二つ(?)の子息で、自らも神戸フィルを長年育て、震災後も精力的な活動を続けられている日本の誇る指揮者のひとりである。私は理由もなく泣けてきてしまった。偶然の積み重ねでこの教会の席に今座っている自分の幸運に急に気が付いたからかも知れない。天国の私の父が「どうだ」と言っているような気がした。

  父は1995年の1月の大震災のあと、この神戸にボランティアで来ている。私が小学生時代に引きずり込んだボーイスカウト活動に、リーダーとして私以上にのめり込み、長年スタッフとして携わっていたが、その流れでその活動にも参加していたのだ。そのときの様子を父に聞く機会はなかった。その年の6月末頃に腺癌が発覚し、8月6日には亡くなってしまったのである。

  今回社員旅行に神戸を選んだのは、大した理由はなかった。湯布院が予約でいっぱいだったので、もう少し距離が近く、あまり行ったことがない関西・・・、とひらめき、友人に関西の温泉といえば?、と聞いたら「有馬」と答えが返ってきた、そんなことである。こうなると、そのひらめきさえも父の仕業かと思えてきた。

  朝比奈氏の挨拶と、わかりやすい解説のあとに始まった、弦楽器だけの20人による演奏は、それは素晴らしいものだった。

  (続く・・・)

神戸フィルのHP

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