« ジュリー・アンドリュース | トップページ | 父の想い出(豊島高校) »

2005.07.25

父の想い出(伊豆大島)

  父が亡くなって満10年となる。 それに先だってこの日曜日にごくごく内輪の記念式を行った。 出席者から、いろいろな父にまつわるエピソードを聞かせてもらったが、私の中で急に甦ったのが「伊豆大島」のことだった。

  父は数年間、教頭となって最初の赴任地、大島南高校へ単身で行っていた。 この高校は全寮制で、教頭であると同時に、寮の舎監長でもあった。 母も行かれれば良かったのだが、育ち盛りの私と弟がいたので、月に一度、私たちに留守番をさせて行くのが精一杯だった。(兄は大学近くに下宿していた)

  おそらくほとんど寝る間もないほど仕事をしていたと思う。 飲めない酒も、飲んでいたようだ。 それも付き合いで、というものではなく、わずかな時間に熟睡するための「睡眠薬」として。

  私は大学生となり、自動車免許を大島の合宿教習所で取ることにした。 父の住まいは大島の南端、波浮(はぶ)の港の近くであり、教習所は大島空港に隣接し、船ならば元町港に近かった。 学科教習のある前半は、文字通り合宿だったが、宿泊費節約のため、実技だけになった後半は、父の宿舎から通うことにした。 食事はどうしていたのか、全く覚えていない。 自分で作っていた気もする。

  多忙な父に、教習所まで車で送らせたこともあった。 今思えば父は52歳くらいだ。 眠る時間もろくにない毎日だったろうに、申し訳ないことをした、と悔やまれる。

  大島の風景を思い浮かべるとき、自然に聞こえてくるのがユーミンのアルバム「紅雀」の曲の数々。 特に「9月には帰らない」は、忘れられない。

  当時、まだウォークマンも出る前で、ソニーの技術の最先端の「カッパもびっくり」の謳い文句で一世を風靡したカッパブックス・サイズのテープレコーダー(モノラル)に、このアルバムのカセットを入れ、聴きながら東海汽船の路線バスに乗って教習所までの往復を過ごした。

  その時期は春休みから5月末まで(途中大学へ通学のため帰京)だったので、9月ではないのだが、「灯台」「潮騒」「バスの窓」等のその歌詞は、窓から見える風景にドンピシャだった。

  ほかにも「外海をかけていく潮」「古い滑走路」など、イメージがダブる歌詩が溢れる曲が並び、見える海が「地中海」にも見えてくる。

 「紅雀」は松任谷由実名義の最初のオリジナルアルバムであるが、ユーミンの数あるアルバムの中でもかなり地味なものである。 何よりこのアルバムにはヒット曲がない。 しかし、聴けば聴くほど味の出る、私が大好きなアルバムなのである。

アルバム「紅雀」

  父がいない昼間の空き時間は、ひとりで海が見える丘に登った。 回りに誰もいないことを確認し、大きな声でユーミンやハイファイセットの歌を歌った。 

  出来ることならこの時に帰り、今の自分と幾つも違わない父と、話がしてみたい。
  このアルバムを聴きながら、一緒に大島の海を眺めたい。

|

« ジュリー・アンドリュース | トップページ | 父の想い出(豊島高校) »

コメント

もうブログの更新をなさってはいないのでしょうか?お父様の大島時代にお世話になった者です。先生の在職中に教習所に通っていたという事は、私もあの寮にいたと思います。大きな身体と丸い眼鏡が特徴の化学の先生でしたね。そう云えば、先生が竹早高校に移られた後で一度訪ねたことがありました。24時間自分の時間が無い舎監生活から解放されて笑ってはいましたが、それでも大島での生活は貴重な時間だったと言っておられました。今年3月あの寮も廃寮となります。学校の名称もすでに変わりましたし、私たちの居た頃とはまるで違う教育の場となります。問題だらけの学校寮でしたが、私にとっては今の人生の原点だったといえます。私たちの同期26名の中では父親代わりでもあった先生に親しみを込めて、あの未来から来た猫のキャラクターの名前で読んでいましたっけ。

投稿: 舎監長にお世話になった者 | 2008.02.26 00:23

 コメント、ありがとうございます。 せっかくのお言葉ですが、残念ながらお人違いのようです。 私の父は倫理社会が専門でした。 また大島南のあとは明正高校だったと思います。 生徒たちは「頑丈メガネ」というニックネームをもらっていたと聞いたことがあります。 そして父が大島に赴任していたのは今から30年前後、昔のことです。
 それでも、あの思い出の地を懐かしく思って下さる方のわざわざのコメントに感激しています。 本当にありがとうございました。

 モノログの更新が滞っているのは、気持ちに余裕がないためです。 ときどき、これを書きたいな、と思うネタはあるのですが、なかなか長時間文章を考える時間がありません。 ひとりごととは言え、文章にはある程度の責任がありますから、いいかげんな事ばかりではいけないので、資料をひっくり返したり、インターネットで検索をしたり、それなりの労力が要ります。 どうか気長にお待ち下さい。(^^;)

 気楽に投稿できる写真ブログや掲示板は、ちょくちょく更新していますので、そちらもよろしくお願いします。

投稿: uncle bear | 2008.02.26 18:52

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/5646/5148313

この記事へのトラックバック一覧です: 父の想い出(伊豆大島):

« ジュリー・アンドリュース | トップページ | 父の想い出(豊島高校) »