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2006.04.02

日本フィル/宮川彬良

日本フィルハーモニー交響楽団 / 宮川彬良(あきら=指揮者・作曲家・編曲家)

 あの東京芸術劇場のコンサートから早くも一週間が過ぎた。 気持ちが落ち着いたところで、感想をまとめておこうと思う。

 まずその前に、当日会場にいらしていた「宇宙戦艦ヤマト」の原作者、松本零士氏の興味深いエピソード。
 宮川泰(ひろし)氏が亡くなったのは21日の午前1時頃だと見られているが、ちょうどその時刻に、松本氏はお仲間たちとカラオケで「ヤマト」を大合唱していたと言うのだ。 そして時間をおいて帰宅する車の中で、宮川氏の訃報を聞いたのだと。
 さらに彬良氏曰く、今回のリハーサルは、亡くなった後に始まったのだが、あらかじめ決まっていたリハーサルのスケジュールを、24日の通夜、25日の葬儀のために変えることなく、すべては完璧なかたちで、このコンサート当日を迎えることができたのだ。 それが偶然なのか、宮川泰の差し金なのかは誰にも分からない。

 そしてこのコンサートは、日本フィルハーモニーというオーケストラが日曜日に東京芸術劇場で継続的に開いている「サンデーコンサート」というシリーズの一環として催された。 私は今までそれを知る機会もなかったのだが、宮川氏の訃報にインターネットで情報をかき集めている中、実にタイムリーなこの企画と池袋という身近なシチュエーションに飛びついてその場でネット予約した。 自分がどこの席を買えるのか、画面上で選ぶことが出来るのだから凄い。

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 待ちに待った開演時刻になり、舞台に彬良氏が登場すると、会場は割れんばかりの拍手で彼を迎えた。 最初の曲はいずみたく氏の「見上げてごらん夜の星を」だったが、彬良氏の心中を察し、私はもう感極まっていた。 そして、久々の生オーケストラの重低音の響きはさらに追い打ちをかけた。 彬良氏のアレンジに酔いながら、平原まこと氏の管楽器に初めての快感を感じつつ、童謡や宮川泰メロディの様々なバリエーションに感動した。
 平原氏のサキソフォンをボーカルに見立てた彬良氏の大ヒット作「マツケン・サンバII」で大いに盛り上がり、前半のプログラムが終わったところで、異例のアンコールの嵐。 これはもちろん、平原氏とのコラボレーションに向けてのものだ。

 休憩を挟んで始まった後半。 厳かにヤマトのメロディーが流れ始める。 はやる気持ちをぐっと抑えながらも、馴染みのテーマソングのイントロと共に華やかな衣装のささきいさおが登場すると、会場は一気に最高潮へ。
 彬良氏の軽妙なMC(もちろん内容は父君のことだが、決して湿っぽくなることはなかった)を絡めながら、ヤマトの名曲が続いた。 長年、ヤマトの音楽を身近に感じてきた彬良氏の裏話、表話は、とても楽しい。 そしてアニメ音楽の枠を超えた数々の大曲に、改めて宮川泰という作曲家の偉大さを知らされた。

 また、テレビ版のエンディング・テーマ「真っ赤なスカーフ」でのささきいさお氏の衣装は、彼がいつか宮川氏と一緒に「紅白」で共演できたら(もちろんヤマトのテーマで)着ようと思って作っておいたものだと言う。 (昨年の紅白に際し、NHKが行った「スキウタ」アンケートで、ヤマトは上位に入り、期待に胸ふくらんだ宮川氏は、結局選曲に漏れたことをずいぶん残念がっていたそうだ)

 ヤマトの音楽が終わっても、アンコールは何度も繰り返され、「若いってすばらしい」、ふたたび「宇宙戦艦ヤマトのテーマ」、そして最後の最後は、平原まこと・宮川彬良の二人が宮川泰に捧げる 「Memory Of You」。 実に心のこもった鎮魂歌であった。
 拍手は鳴ることを知らず、会場は一体感で一杯だった。

 そして、日本フィルというオーケストラの音色は、本当に素晴らしい。 今まで聴く機会がなかったことが悔やまれる。 是非、次回の四月のサンデーコンサートは、古典の名曲を堪能したい。

 また、今後の彬良氏には、数多くの歌手たちに提供した宮川泰作品を、その絶妙なオーケストレーションで甦らせ、服部克久氏の東京ポップスに負けないポップス・コンサートを、東京で行っていって欲しい。 これは切なる願いである。 (大阪ポップスが東京公演してくれても良いが、できれば日本フィルとの機会を増やしていただきたい)

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コメント

今夜(5/1)図らずも宮川泰作品を聴く機会をもつことが出来ました。
uncle bearさんのブログを読ませて頂いて、ヤマトでは胸のつまる思いは容易く想像できたので、まずは明るい曲調をと「G-1ファンファーレ」から流しましたが、結果は同じでした。そのうち「パパと一緒」の宮川氏と女の子の歌声で堤防決壊。
組曲からも充分伝わるように、生のオーケストラで聴くヤマトはさぞ壮大だったことでしょう。画面を通して感じられたチャーミングでロマンチストで、なお誠実なお人柄は、宮川氏の作品そのものですね。 ちょっと切ない気分に寄せたままコメントさせてもらいました。 

投稿: 香祥 | 2006.05.02 00:45

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