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2006.05.02

音楽ひとりごと(30)オーケストラの醍醐味

オーケストラの醍醐味

 昨日は東京芸術劇場で、千住明氏のコンサートを聴いた。 新日フィルのフルオーケストラに、バイオリニストである妹の千住真理子、歌手の白鳥英美子、ピアニストとしてハネケンこと羽田健太郎、というなんとも豪華な顔ぶれであった。 きっかけは3月の宮川彬良と日フィルのコンサートで見たポスターで、これは母の日代わりにちょうどいい、と二枚のチケットを即刻予約した。

 最近オーケストラづいているが、何故こう惹かれるのだろう。 それはやはり、たくさんの人間が心をひとつにして創り上げる音空間だからだと思う。

 奇しくも、昨日千住氏もこのように話していた。 作曲やオーケストレーションは、ひとりで頭の中にその響きを想像しながら書いたものが、実際にオーケストラが演奏し、現実の音として聞こえてきたとき、大きな喜びとなる。 それは麻薬のようなもので、もう私はこの仕事から離れることはできない、と。
 コンピューターを使ってひとりでなんでもできる(ように思える)時代であり、それは音楽も例外ではない。 今、巷に氾濫している音楽はそのようにして作られているものが多いし、楽譜が書けなくても作れるのだ。 しかし彼は敢えて、楽譜は手書きに徹し、腱鞘炎になりながらも、ひたすら音符を書いているのだという。 それは、書けば書いただけ音として鳴るのであり、しかもその一音一音を、一流の音楽家たちが魂を込めて演奏してくれる。 そのためには自分の手で書くのが当然だと言うのだ。

 聴き手としては、あくまでも受動的なものではあるが、その魂の込められた一音一音を自分のものにする喜びがある。 ステージの上にいる音楽家たちはひとりひとりが独奏者でもある。 しかし、オーケストラとしての演奏ではまさしくひとつのパーツに徹し、大きなひとつの作品をつくるのだから、なんという贅沢だろう。 私はその瞬間、その音空間の中に自分がいるということに、とても感動する。 普段レコードやCDで楽しめるのも、この体験があればこそだとつくづく思う。

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コメント

羽田健太郎さんの訃報に愕然としております。
クラシックとポピュラーをつなぐ仕事をされていただけに、
残念でたまりません。

投稿: ギムリン | 2007.06.07 06:50

 本当にラジオで知って、耳を疑いました。 最近の様子からは、全く具合が悪いとは感じられませんでした。
 先日の「題名のない音楽会」では、ミシェル・ルグランと競演して、幸せそうだったのが印象的でした。

 ご冥福を祈りましょう。

投稿: uncle bear | 2007.06.08 00:34

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