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2011.01.05

サウンド・オブ・ミュージックと菩提樹

ブルーレイになった映画「サウンド・オブ・ミュージック」をいつ見ようかと思っていたら、折り悪くテレビ東京で放送されたこの映画を母親が見始めてしまったので、がっかり。
そんなときに、BS2で録画予約してあったドイツ映画「菩提樹」と「続・菩提樹」がレコーダーに収まったので、まずはそちらから見ることに。

この「菩提樹」は1956年(私が生まれた年)に、主人公のモデルであるマリア・トラップの自伝をもとに映画化された。 「続・菩提樹」は2年後に亡命先のアメリカを舞台にして作られたものである。
その後、この物語はアメリカでミュージカルになり、1956年にハリウッドで映画化された。 それが「サウンド・オブ・ミュージック」である。

私は舞台の「サウンド・オブ・ミュージック」を1度も見たことがないので詳細は分からないが、今回「菩提樹」を見直して分かったことは、映画「サウンド・オブ・ミュージック」が同名の舞台を映画化したというよりも、このドイツ映画をリメイクしたと言うのが1番正しいのではないかと思う。
近年では日本の「シャル・ウィ・ダンス?」や「ハチ公物語」までリメイクしてしまったハリウッドだから、不思議のないことだ。
「菩提樹」はハリウッド映画に比べれば質素な作りで音声もモノラルだが、丁寧につくられている。
冒頭の修道院でのシーンや、マリアがトラップ家を初めて訪ねるシーン、大佐との恋に悩んで修道院に帰って修道院長に相談したり、晴れて修道院の教会で結婚式を挙げるシーンなどは、忠実に「サウンド・オブ・ミュージック」で再現されている。 ただ、「菩提樹」はミュージカルではないので、歌は最小限に留められ、当然ながらロジャース&ハーマンスタインの音楽は使われていないから、雰囲気はかなり異なる。 それなのに違和感なく見られるのは、マリア役がとても近いイメージの女優であるからだと思う。 順番から言えば、ジュリー・アンドリュースが抜擢された理由は、もちろん歌唱力もあったと思うが、ドイツの女優、ルート・ロイヴェリクとイメージがかけ離れていなかったことにもあったのではないかと思う。
一方、トラップ大佐は少しイメージが違う。 米国版の俳優クリストファー・プラマーはクセのある顔だが、どちらかと言うとドイツ版のハンス・ホルトは端正な顔立ちである。 そしてドイツ版は、大佐が歌うシーンはわずかにあるものの、合唱団に加わることは最後までなかった。 こちらの方が原作に忠実なのだろう。 そして亡命後の様子を知るためには、このふたつのドイツ作品を観なければならないのである。

「サウンド・オブ・ミュージック」にはミュージカル映画としての脚色がかなり見られる。 私としては、こちらを先に見てしまっているから、(正確には「菩提樹」を先に見ている可能性があるが、幼くて記憶がない)音楽の素晴らしさ、シネマスコープの迫力も含めて、違和感なく、私にとって最高の映画であることに変わりはない。 ラストシーンの、実際にはなかった「徒歩で山越えして亡命」も、なくてはならない感動のシーンなのである。

ブルーレイで観る「サウンド・オブ・ミュージック」はやはり美しい。 5.1 サラウンドの音声も、素晴らしい。(テレビ放送では、サイズがハイビジョンテレビ用にトリミングされていた) そしてお楽しみは特典映像。 まだしばらく楽しめそうだ。

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